2025年06月06日

採用活動を進めるうえで欠かせないのが、求職者に対して自社の魅力を訴求することです。特に、求人原稿は自社の魅力を伝える絶好の機会となります。しかし、多くの企業では自社の魅力を言語化できておらず、求人原稿にも反映していないのが現状です。
この記事では採用支援成功率97%のユウミが培ったノウハウに基づいて、自社の魅力の見つけ方を解説します。未経験者・経験者別の訴求方法もあわせて紹介するので、中小企業の人事担当者や採用担当者の方はぜひ参考にしてください。
採用における自社の魅力とは~釣りにおける釣竿~
魅力訴求は採用戦略の要素を釣りに例えた「釣り理論」において、「釣り竿」に該当する考え方です。ここでは、釣り理論における求人原稿の立ち位置について振り返りましょう。
- 釣り理論における採用チャネルの立ち位置
- 多様化する採用チャネルの種類
それぞれ詳しく見ていきましょう。なお、釣り理論全体を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
釣り理論における自社の魅力の立ち位置
釣り理論の各要素は、下図の通りです。


「釣る魚」で採用ターゲットを明確化したあとに取り掛かるのが、「釣り竿」である求人原稿の作成です。
求人原稿では、「これは自分に合いそうな仕事だ」と求職者の心に刺さる内容にする必要があります。そのためには自社の現状を分析し、どこに魅力があるのか、どのように伝えれば求職者の関心をひけるのかを考えて求人原稿に反映することが大切です。
「企業の強み=求職者にとっての魅力」ではない
自社の魅力を訴求する際に注意したいのが、「企業の強み」と「求職者にとっての魅力」が必ずしもイコールではない点です。実際に、弊社が採用支援した温泉施設の訴求例を見てみましょう。
温泉施設の強み | 求職者の気持ち |
---|---|
漫画一万冊あります | 「漫画の場所を覚えたり、片づけたりするの、できるかな」 |
老若男女問わず愛されてます | 「高齢者や子どもにも対応できないといけないの?」 |
広々リラックスできる空間です | 「広くて掃除が大変そう!」 |
上記からも分かる通り、温泉施設にとっての強みは求職者からすると負担感を強めるものであり、求人への応募をためらいかねません。同じ「漫画1万冊」でも、「休憩時間は漫画読み放題」と訴求したほうが、求職者は魅力を感じやすくなります。
このように、自社の魅力を訴求する際は単に企業の強みを記載するのではなく、求職者目線で洗い出したり言い換えたりすることが大切です。
【実践】自社の魅力の見つけ方~インタビューの活用~
「自社の魅力がどこにあるのか、言語化できていない」という場合は、社員インタビューを行いましょう。働くうえでの魅力はもちろん、他社との違いや大変なところも一番知っているためです。


採用したい職種の従業者が10人〜15人程度であれば、全員に聞くくらいの気持ちでインタビューすることをおすすめします。弊社も1つの職種で最大8人ほどインタビューし、採用要件の松竹梅全パターンの傾向をまとめた経験があります。
また、社員インタビューは社長が世代交代し、「親から事業を継いだものの、自社の魅力がいまいち分からない」という場合にも有効です。実際、弊社が採用支援した企業のうち、約27%が世代交代から2年以内の社長でした。
例えば、広島県の食品会社では「社員の声を聞きたい」とインタビューに社長が同席したところ、以下のような声を聞いて自社の魅力を再発見するきっかけになったとのことです。
- 「いつも行っているスーパーの冷凍食品コーナーに、自分が作ったものが並んでいる」
- 「それを見ると、自分が作ったもの!だとわくわくする」
- 「逆に、他社のライバル商品はどうなのかなって見るのも楽しい」
実際に働いている社員の声を聞くと、企業目線の強みとはまた違った魅力をたくさん集められます。自社の魅力を言語化できていると自負する企業も社員インタビューの経験がない場合は、採用活動を積極的に進める前にぜひ実施してみてください。
【実践】魅力の訴求テクニック~ターゲット別~
ここでは自社の魅力を訴求するテクニックについて、以下の2パターンに分けて解説します。
- 未経験者採用の場合
- 経験者採用の場合
なお、より自社に合った訴求方法について知りたい方は、ぜひ一度弊社へご相談ください。
未経験者採用の場合
まずは公開調査データから、若手社員や未経験者が「就職したい会社」「就職したくない会社」の傾向を知ることが大切です。
未経験者の就職・転職傾向
未経験者の傾向を示す一例として、大学生の就職意識調査ではノルマや転勤など大変そうなイメージが強い会社を避けたがることが分かります。




また、世代別の転職理由ランキングを見ると、どの世代でも「給与が低い・昇給が見込めない」が1位〜2位にランクインしています。また、20代の3位にある「社員を育てる環境がない」は、未経験者からすると非常に不安が大きい部分です。


以上の就職・転職傾向を踏まえながら、次項で未経験者に対する訴求ポイントを見ていきましょう。
未経験者に対する訴求ポイント
未経験者に対して自社の魅力を訴求する際に押さえたいのは、以下の10項目となります。
- 入社後のステップ
- こんな方にオススメ
- 育成の仕組み
- 1日の流れ
- 未経験でもできる理由
- 同世代インタビュー
- 一緒に働く仲間
- 将来の年収イメージ
- キャリアステップ
- Q&A
未経験ならではの不安を払拭し、安心感を与えられると応募につながりやすくなります。特に「同世代インタビュー」を載せると、より具体性が高まり、共感を得られやすいでしょう。
また、未経験者は不安だけではなく、「新しい自分へ生まれ変わる希望」を胸に就職・転職活動をしています。そのため、「未経験から始めて、どれくらいで一人前になれるのか」「その後、どのようなキャリアアップが見込めるのか」といった将来像も示せると、より心に刺さる求人原稿になります。
経験者採用の場合
経験者採用においても公開調査データを活用しながら、「転職を決意した理由」や「仕事で大事にしているポイント」などを知ることが大切です。
経験者の転職傾向
例えば、営業経験者の場合、給与や待遇に対する不満が転職を決意した理由のトップとして群を抜いています。また、営業経験者が仕事で大事にしているポイントは、転職を決意した理由の裏返しであることも分かります。




30代の転職理由ランキングでは、「スキルアップしたい」「意見が言いにくい/通らない」など、社会人として十数年経ったからこそ感じやすい悩みも表面化しています。40代になると「社内の雰囲気が悪い」がトップになる一方で、評価方法への不満や肉体的なつらさも転職理由として増えているようです。




以上の就職・転職傾向を踏まえながら、次項で経験者に対する訴求ポイントを見ていきましょう。
経験者に対する訴求ポイント
経験者のような採用難易度が高いケースでは、特に求人原稿の作り込みが重要です。特に資格が必要な職種の場合、仕事内容は基本的にどの会社も同じである分、給与や年間休日が比較対象となり、会社の良さが伝わりにくくなってしまいます。


そのため、各職種の転職ニーズを実態調査などから把握したうえで、自社の何を魅力としてアピールするかを洗い出しましょう。実際に経験者として転職してきた社員に対してインタビューし、他社との違いや自社ならではの良さも言語化してみてください。
また、経験者採用では人材紹介会社の活用も有効です。ただし、人材紹介会社から推薦をもらうためには、キャリアアドバイザーに選ばれる企業になる必要があります。


キャリアアドバイザーに対しても自社の魅力を訴求できるよう、以下の内容をまとめた資料を準備することが大切です。
- 自社の魅力
- よく聞かれるQ&A
- こんな方にオススメ
- 先輩社員の1日のスケジュール
- 社内行事の様子 など
自社の魅力を求人原稿などで訴求する
自社の魅力は採用活動を進めるうえで、強力な武器の1つです。採用ターゲットに合わせて求人原稿に記載する魅力を取捨選択し、伝え方を工夫することで、応募率は大きく改善する可能性があります。
求人原稿の作り方におけるポイントや改善事例について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。