2025年08月27日

早期離職は採用活動にかかる人的・金銭的コストの増大につながる分、なるべく避けたい事態です。しかし、早期離職につながる「本当の理由」が分からず、効果的な対策を打ち立てられずにいるケースが少なくありません。
この記事では120社以上の採用支援実績がある弊社ユウミの経験をもとに、新卒・中途採用後の早期離職でよくある理由ランキングTOP5を紹介します。ケース別・時期別の防止対策もあわせて解説するので、中小企業の人事担当者や採用担当者の方はぜひ参考にしてください。
新卒・中途採用後の早期離職でよくあるパターン一覧
主に早期離職の防止対策を考えるためには、まず原因をきちんと把握することが大切です。早期離職の原因には、下表のように一定のパターンがあります。
早期離職の原因 | よくあるパターンの例 |
---|---|
ミスマッチ | ・思っていたよりもきつかった ・「前の会社ではこうだったのに」から抜け出せない ・辞める人から引き継ぎ、仕事の魅力が感じられない など |
育成体制 | ・フィードバックが正論過ぎて精神がやられてしまう ・中途採用だと未経験でも即戦力を求めて育成しない ・ベテラン勢と新人のギャップがありすぎる ・社長は新しい風を入れたいが、現場は今のやり方を変えたくない など |
人間関係 | ・直属の上司やメンターと合わない ・上層部がメンターや上司側の意見だけを聞いて判断する など |
しかし、上記は必ずしも従業員から会社へ正直に伝えられるわけではありません。「会社へ伝えた離職理由」と「本当の離職理由」の違いについて、次項でチェックしていきましょう。
離職率の現状や各原因の詳細について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
従業員は「本当の離職理由」を会社へ伝えていない?
実は転職者のうち5割以上(※)が、「本当の離職理由」を伝えていません。ここでは「本当の離職理由」について、以下の2つを解説します。
- ・本当の離職理由ランキングTOP5
- ・「本当の離職理由」を今後の採用活動に活かす方法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
本当の離職理由ランキングTOP5
「会社へ伝えた離職理由」と「本当の離職理由」、それぞれのTOP5は下表の通りです。
会社に伝えた離職理由 | 本当の離職理由 |
---|---|
1.別の職種にチャレンジしたい 2.人間関係が悪い 3.家庭の事情 4.自身の病気・怪我 5.給与が低い |
1.人間関係が悪い 2.給与が低い 3.会社の将来性に不安を感じた 4.評価・人事制度に不満があった 5.社風・風土が合わない |
上記から、会社に伝えた離職理由は建前であり、本音は別のところにあることが良く分かります。「会社へ伝えた離職理由」と「本当の離職理由」で違いが出るのは、円満退社したいという気持ちが離職者で強いためです。特に会社に恩を感じている場合は、最後の最後に「嫌な人だったな」と思われたくないものです。
このように、従業員から伝えられた離職理由の中には、本音をカモフラージュするために使われるものもあることをまず理解しましょう。
「本当の離職理由」を今後の採用活動に活かす方法
離職率の高さを課題に感じている場合は、従業員から伝えられた離職理由と本当の離職理由を比較しながら、自社で改善できそうなポイントを探すことが大切です。なお、本当の離職理由は、従業員が会社を辞めたあとに思い切って聞いてみることをおすすめします。「辞める前に本音を伝えると、気まずくなりそう」と感じる方が多いためです。
具体的には、離職後に「今後のために、会社の改善すべき点を教えてもらえませんか」と人事が問い合わせてみてください。得られた情報は従業員の本音として真摯に受け止め、労働環境などの改善に活かしましょう。
また、採用活動では早期離職以外にも、さまざまな場面で失敗につながる落とし穴があります。新卒・中途採用の失敗例や成功しやすい会社の特徴について知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
【ケース別】新卒・中途採用後の早期離職を防ぐコツ
新卒・中途採用後の早期離職を防ぐコツとして、以下3つのケースを解説します。
- ・ミスマッチが理由の早期離職が多い場合
- ・育成体制の不備による早期離職が多い場合
- ・人間関係が原因の早期離職が多い場合
なお、弊社ユウミでは早期離職における課題抽出や改善案の提案はもちろん、求人原稿などの実務面もサポートいたします。
新卒・中途採用を成功させたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
ケース①:ミスマッチが理由の早期離職が多い場合
ミスマッチによる早期離職を防ぐコツは、以下の3つです。
- ・ターゲット設定をしたうえで、求人原稿を作り込む
- ・自社のスタンス・価値観・採用の意図を事前に伝える
- ・原価意識を持たせる
求人原稿では自社を良く見せようとするあまり、実情と乖離する内容になっていないかチェックしましょう。求人原稿では自社の大変さもきちんと示しつつ、ターゲットに響くようなポイントを抽出・訴求することを心がけてください。
また、自社のスタンス・価値観・採用の意図を事前に伝えることも重要です。新入社員のモチベーションが向上し、自分のミッションなどを改めて意識することで仕事への取り組み方が変わります。
さらに、売上と給料の関係性を理解してもらうためにも、原価意識を持たせましょう。仕事ではさまざまな費用がかかり、「売上=給与の原資」とはなりません。この点を理解してもらうことで、「自分はこんなにも頑張っているのに給料が低い」という不満を小さくできます。
上記のうち、ミスマッチを防止するうえで最も大切なのは、採用ターゲットに合わせた求人原稿です。求人原稿の書き方やコツについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
ケース②:育成体制の不備による早期離職が多い場合
育成体制の不備による早期離職を防ぐコツは、以下の2つです。
- ・入社後に関わる人を採用フローに巻き込んで、自覚を持たせる
- ・時期別の離職理由を把握して、関わり方を検討しておく
入社後に関わる人を採用フローに巻き込むことは、「自分たちで、この人を育てていくんだ」という当事者意識の芽生えを促します。そうすることで、入社後の育成にも前向きな気持ちで取り組めるようになるでしょう。
また、「時期別の離職理由」はメンターだけではなく上司や同僚にも共有し、重点的にフォローできるよう体制を整えておくことも大切です。
ケース③:人間関係が原因の早期離職が多い場合
人間関係を起因とした早期離職を防ぐコツは、以下の2つです。
- ・メンターとの相性をすり合わせる
- ・時期別の離職理由を把握して、関わり方を検討しておく
メンターの設定では、「直属の上司と部下ではない、面倒見の良い従業員」などがおすすめです。1on1の定例ヒアリングを週1などの頻度で設けておくと、不安や心配事も発見しやすくなります。
また、育成体制と同様に「時期別の離職理由」の共有・フォローも重要になってきます。新入社員の早期離職だけではなく、中堅・ベテラン勢の退職を防ぐためにも、人間関係上の課題がないか、この機会に自社全体を振り返ると良いでしょう。
【時期別】新卒・中途採用後の早期離職を防ぐコツ
新卒・中途採用後の早期離職を防ぐコツとして、以下4つの時期別で解説します。


なお、入社にいたるまでには応募者対応のスピード感も重要になってきます。応募者対応のポイントやアフターフォローについて知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
時期①:入社初期(入社後すぐ)
入社後にすぐ離職する理由として多いのは、以下に挙げるように社内の雰囲気や上司・同僚との相性が悪かったというものです。
- ・上司からいきなり、非常に厳しい言葉を浴びせられた
- ・同僚とまったく気が合いそうになかった など
この場合、入社前からのミスマッチがかなり大きいため、採用フローを見直したり、現場を見るような見学会・説明会を取り入れたりすると良いでしょう。
時期②:入社後数日(1か月程度)
入社後数日で離職する理由としては以下のように、残業・休日や福利厚生のほか、オフィス環境に対する不満が大多数を占めます。
- ・残業は少ないと聞いていたのに、とても帰りにくい雰囲気を感じる
- ・土日祝休みと求人票に書いていたのに、出勤できるか聞かれて断れなかった
- ・仕事現場がこんなに寒いとは思わなかった(逆に夏は暑すぎて大変) など
入社後1か月程度での早期離職を防ぐためには求人原稿での伝え方を改善するのはもちろん、「実際に働いてみて不安に感じることはないか」と声かけすることも大切です。
時期③:入社中期(2か月~3か月程度)
徐々に慣れてくる時期には、仕事の内容や難易度などに対するギャップを感じやすくなります。仕事が多い・難易度が高い場合だけではなく、少なすぎる・簡単すぎるケースも要注意です。逆に物足りなくなり、「思っていた仕事内容と違うな」「このままでいいのか」と不安をあおりかねません。
そのため、責任や裁量の範囲とあわせて、仕事内容や難易度のバランスをきちんとすり合わせていくことが必要です。
時期④:入社半年以降
入社半年以降に不満が生じやすいのは、給与や賞与です。人事評価や目標管理を客観的に行う体制を整え、従業員の納得感を高めることが大切になってきます。 新卒・中途採用で新たに入社した人員だけではなく、既存の従業員におけるモチベーション向上にもなり、企業全体の生産性改善にもつながるでしょう。
早期離職につながる「本当の理由」を知って対処しよう
早期離職の理由はある程度パターン化しており、1つずつ丁寧に解決していくことで長期的に活躍できる人材の確保につながります。従業員や離職者からの訴えにはきちんと耳を傾け、採用活動や社内環境の改善に勤めましょう。
弊社ユウミでは「採用力=企業力×戦略力×改善力」という定義のもと、独自の「釣り理論」を活用しながら多様な業種の採用支援に携わっております。過去4年で120社をサポートし、顧客満足度・採用成功率ともに97%以上です。新卒・中途採用を成功させたい方は、ぜひ一度ご相談ください。