【中小企業向け】求人原稿の作り方〜実践的ガイド〜

HOME

/

採用コラム

/

【中小企業向け】求人原稿の作り方〜実践的ガイド〜

2025年04月07日

【中小企業向け】求人原稿の作り方〜実践的ガイド〜

採用活動において、求人原稿は自社の魅力を伝え「ここで働きたい」と求職者に思ってもらえる絶好のツールです。しかし、採用に課題がある会社の中には、求人原稿の重要性に対する理解が不十分で、有効活用できていないところも少なくありません。

この記事では採用支援成功率97%のユウミが培ったノウハウに基づいて、求人原稿で押さえたいポイントや書き方の実践的なテクニックを解説します。求人原稿だけを変えて採用が成功した改善事例や注意すべき法律もあわせて紹介するので、中小企業の人事担当者や採用担当者の方はぜひ参考にしてください。

【編著者】小口正史

株式会社日本経営や株式会社リクルートキャリア(現・株式会社リクルート)で、採用支援コンサルティング等に従事。福祉事業の開業支援コンサルティングを経て、採用コンサルティング会社に取締役として参画後、ユウミを設立。

独自理論による採用手法で、人口減少地域や高難易度職種の採用を次々に成功。過去3年で100社を支援し、顧客満足度・採用成功率ともに97%以上。現在スタッフ23名、随時45社ほどの企業様を継続支援し、多くの実績を上げている。

採用における求人原稿とは~釣りにおける釣り竿~

求人原稿は採用戦略の要素を釣りに例えた「釣り理論」において、「釣り竿」に該当する考え方です。ここでは、釣り理論における求人原稿の立ち位置について、見ていきましょう。

なお、釣り理論全体を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【中小企業向け】採用戦略の立て方と実践的フレームワーク〜

釣り理論における求人原稿の立ち位置

釣り理論の各要素は、下図の通りです。

釣り理論釣り理論

求人原稿は「釣り竿」にあたり、採用ターゲットを明確化する「釣る魚」の次に着手する要素です。つまり、自社で欲しいターゲット人材を具体的にイメージしながら、「働くうえでの魅力をどのように訴求していくか」を考え、求人原稿に反映する工程になります。

求人原稿のタイトルは“釣り餌”

魅力的な求人原稿を書けても、実際に求職者の目に触れなければ意味がありません。そのため、弊社ユウミの釣り理論では、求職者が最初に見る求人のタイトルや写真を「釣り餌」として別途工夫すべき要素と定義しています。例えば、求人タイトルでは以下のコツを押さえると、求職者の反応率を高められます。


求職者に「詳しく内容を見てみたい」と思わせるような求人タイトルの決め方や写真の取り方について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

【中小企業向け】求人タイトルの決め方と採用に効果的な写真の撮り方〜実践的ガイド〜

求人原稿に一番大切な『心に刺さるかどうか』

求人原稿において最も重要なポイントは、「求職者の心に刺さる内容になっているか」です。例えば、居酒屋やコンビニの窓などには、下図のような張り紙がよくあります。

求人タイトル求人タイトル

しかし、求人を募集している旨と労働条件のみが記載されており、「ここで働きたい!」と魅力を感じる方は少ないでしょう。求人媒体での掲載も、同様です。出稿にたくさんのお金をつぎ込んでも、求人原稿の改善がなければ採用はおろか、応募すら見込めません。そこで意識したいのは、以下に挙げる2つのポイントです。


それぞれ詳しく見ていきましょう。

“その人だけに刺さる”ピンポイント求人とは?

ピンポイント求人とは、「その人だけに刺さる求人」という意味です。例えば、スーパーのレジ係を募集したい場合、求人原稿としてよく見かけるのは下図の求人Aです。
しかし、より心に刺さる求人原稿は、子持ち主婦であれば求人B、フリーターであれば求人Cです。このようにターゲットごとでピンポイントな求人原稿を作ることで、「自分に合いそうな仕事だ」という印象を与え、結果として応募数の増加につながります。

ピンポイント求人ピンポイント求人

ピンポイント求人は業種問わず効果を発揮しやすいため、求人原稿の改善を考える際は「釣る魚で明確にしたターゲット人材像の心に刺さるか」をまず振り返ってみましょう。

企業の強み≠求職者にとっての魅力

求人原稿では、「〇〇の技術は弊社がNo.1です!」などの訴求がよくあります。しかし、それらは企業の強みであって、求職者にとって応募の動機となる魅力と必ずしもイコールではありません。例えば、弊社が採用支援した温泉施設では、求人原稿に下表のような強みが記載されており、逆にネガティブな印象を与える可能性さえありました。

求人原稿の記載 求職者の気持ち
漫画一万冊あります 「漫画の場所を覚えたり、片づけたりするの、できるかな」
老若男女問わず愛されてます 「高齢者や子どもにも対応できないといけないの?」
広々リラックスできる空間です 「広くて掃除が大変そう!」

働き手にとっての魅力として訴求するなら、「休憩時間は漫画読み放題」「家族分も含めた社員利用割引あり」などが理想的です。求人原稿の書き方を工夫する際は、求職者目線で自社の魅力を洗い出すことを意識しましょう。

【実践】心に刺さる求人原稿を作るためのテクニック2選

求人原稿に記載する項目の例は、下図の通りです。

求人項目例求人項目例

ここでは、心に刺さる求人原稿を作るためのテクニックを2つ紹介します。


なお、前述したように求人原稿はターゲットに合わせて書き換える必要があります。採用ターゲットの決め方や事例を振り返りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

【中小企業向け】採用ターゲットの決め方〜実践的ガイド〜

(1)公開調査データを集める

ターゲット人材の心に刺さる求人原稿を作成する際は、まず以下を把握することが大切です。


その際、活用できるのが下記のような公開調査データとなります。


例として、保育士を対象とした東京都の実態調査を見てみましょう。下図は、職場選択時に重視した項目の回答です。

東京都保育士実態調査東京都保育士実態調査

「引用元:東京都福祉局「東京都保育士実態調査 結果の概要」

保育士は女性が多く、その方自身も子育て中である場合が多い分、通勤しやすい場所として自宅から近い勤務地が重視される傾向にあることが分かります。 また、職場の雰囲気や給与などに不安や疑問を持つ方も多いため、保育士の求人原稿ではそれらを解決する内容を最低限盛り込む必要があります。特に給与は「〇万円〜〇万円」といった幅のある書き方ではなく、「主任〇〇円」「園長候補〇〇円」など実力に応じた金額を明確に示しましょう。

(2)自社の社員にインタビューをする

求人原稿を作成する際は、「会社が持つ本当の良さ」や「他社との違い」などを社員にインタビューしてみてください。自社で働くうえでの魅力や大変なところは、社員が一番良く知っているためです。
働くうえでの魅力が分からなければ、求人原稿でも訴求できません。採用したい職種の従業者が10人〜15人程度であれば、全員に聞くくらいの気持ちでインタビューすることをおすすめします。

【改善事例】求人原稿だけを変えて採用に成功したケース

ここでは工場空調設備等のルート営業を例に、求人原稿だけを変えて採用に成功したケースについて以下の3つを紹介します。


それぞれ詳しく見ていきましょう。

改善前の求人原稿が抱える問題点と成果

下図は、改善前の求人原稿です。

■具体的には■
「現場同行・見積もり・提案実施・立ち合い・入金回収」までの一連のお仕事をお任せします。

営業先は法人企業がメイン。個人の裁量権が大きく、伸び伸びと働きたい方にぴったりの環境です◎

■新たな挑戦を応援します■
「提案営業に興味はあるけど、営業自体初めて、、、」
「この業界自体も初めてで、活躍できるか不安、、、」
そんなお悩みをお持ちの方もご安心ください。先輩社員が親身に手厚くフォロー致します。
弊社では、入社1か月から3か月までは研修期間と定め、「観る」ことと「実践する」ことを実現することで、一人前の営業に育成します。

アピールポイント:
■6つのアピールポイント!■

①安定した給与
30代後半で年収1000万円!

<給与例>
年齢:30代後半
勤務年数:7年
役職:部長
年収:1000万円


②上場の大手グループ企業で安定安心
東京証券取引所 プライム一部上場 ダイキアクシスグループ
23期連続で業績は右肩上がり!コロナ禍でも業績は落ち込みませんでした。

一見すると、しっかり書かれている印象を持つ方も多いでしょう。しかし、応募は1件〜2件にとどまり、採用できませんでした。そこで、弊社に声がかかり、求人原稿を改善する運びとなりました。

改善に向けた取り組み

弊社が同求人の原稿改善に向けて取り組んだのは、以下の2つです。


それぞれ詳しく見ていきましょう。

①公開調査データの把握

まずはターゲット人材の傾向を知るために、さまざまな公開調査データをチェックしました。その結果の一部が、下表です。

公開調査データで1位の内容
1.営業経験者が転職を決意した理由 給与や待遇に不満がある
2.営業経験者が仕事で大事にしているポイント プライベートな時間が十分確保できる
3.若手社員が企業選択時に重視するポイント 安定している会社
4.若手社員が行きたくない会社 ノルマのきつそうな会社

3.や4.については、長らく1位だった「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」や「暗い会社」に代わる結果となっています。現在活躍している30代〜40代と20代とでは、転職時の意向が変わっているのです。 簡単に言うと、現代の若手社員は主に「大変そう」「きつそう」と思うような会社に転職したがりません。とはいえ、実情と乖離した求人原稿を書いても、ミスマッチが起きます。そのため、求人原稿では実態を正直に伝えつつ、安心感を与えられるような書き方が大切です。

②社員インタビュー後に求人項目を抽出

若手社員が重視することを踏まえつつ、企業独自の良さを知るために社員インタビューを実施しました。その結果を反映したのが、改善後の求人原稿です。

【具体的な仕事内容】
当社の営業は、顧客とのコミュニケーションから始まり、具体的な提案へと繋がります。以下は病院の既存顧客に対する実際のケースです。

1.ヒアリング
病院から夏場の暑さ対策に関する相談を受けたため、顧客のニーズを正確に把握するため、すぐに丁寧なヒアリングを行いました。

2.現地訪問と点検
技術スタッフとともに現地に訪れ、要因を抽出。経年劣化や温暖化の影響で能力不足が原因だと判明。

3.提案
顧客の要望に応えるため、エアコン増設とより効果的な換気システムとの連動を提案。さらに、コロナ対策や補助金の取得も可能なプランを提示しました。

4.成果
今回は、スピード対応が求められたため、顧客からはエアコン増設のみの受注となりました。


このように、顧客の声をしっかりと受け止め、迅速かつ最適な提案を行うことが私たちの仕事です。既存顧客を訪問し、ときには世間話や身の上話をしていただいた案件に迅速確実に対応することで、顧客との信頼関係を築いています。また、個人の裁量権が大きいため、自分のアイデアを活かして業務に取り組むことができます。

主な改善ポイントは、以下の通りです。


未経験の若手でも仕事のイメージが湧くよう、そして「自分に合いそう」と応募につながるような求人原稿へ仕上げました。

改善後の求人原稿の成果

給与などの条件を変えずに求人原稿の中身だけを改善した結果、5名〜6名の応募がありました。そのうち、1名(24歳)の入社が決まっています。
入社したのはホームセンターでウォーターサーバーの営業に携わっていた方であり、業界や会社の安定性に不安を感じていました。しかし、接客や営業という仕事は好きだったため、別ジャンルの営業職として再スタートするために転職したとのことです。現在はすでに1人で訪問営業をしており、入社から1年半が経過した段階でしっかり活躍しています。

求人原稿を書く際に注意すべき法律

求人原稿を書く際に注意したい法律は、主に下表の6つです。

法律 注意したい内容の例
労働基準法 労働時間は規定を満たしているか(原則1日8時間以内など)
最低賃金法 地域別最低賃金や特定(産業別)最低賃金を時給換算で満たしているか
職業安定法 明示が義務付けられている労働条件を記載しているか(就業時間など)
男女雇用機会均等法 性別によって待遇差が感じられる表現になっていないか(「ママさん歓迎」など)
雇用対策法 年齢制限を設けていないか※
著作権法 写真や文章を無断転用していないか

※他法や労働契約の内容などに基づき、例外的に認められるケースもある


工夫を凝らした求人原稿であっても、記載内容が法に触れてしまうと出稿停止になるうえ、求職者からの信頼を失いかねません。改善した求人原稿を採用成功という成果につなげるためにも、各法律の規定内容は必ず押さえておきましょう。

求人原稿以外の要素も重要

求人原稿は求職者の心を動かし、応募という行動につなげる重要なツールです。とはいえ、採用がうまくいかない場合は、求人原稿以外にも以下のような要素に課題が残っているケースもあります。

釣り理論には釣り竿に位置する求人原稿以外にも、さまざまな要素があります。その他の要素について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

【中小企業向け】採用戦略の立て方と実践的フレームワーク


Page Top